AIKA CRAFTさんは、秋鹿(あいか)さんご夫妻が、2017年に大阪から京都府北部に位置する宮津市へ移り住んで開いた、陶芸工房です。「京都宮津【暮らし】の器」をコンセプトに、おふたりが暮らしていくなかで出会った、豊かな自然や町の素朴さの風景や風情を、器に込めています。AIKA CRAFTさんの制作で特徴的なのは、宮津の土や植物の灰といった自然素材を混ぜた釉薬を使っていること。古典的なロクロやタタラといった技法で成形した素地にこの釉薬をかけて焼くことで、柔らかな風合いが表現されています。

豊かな自然や町の素朴さの風景や風情を、器に込めて

この器は、季節ごとに姿を変える植物に感動を覚えた秋鹿陽一さんが、生み出した作品です。器の内側と外側それぞれの側面に付いている稲穂の柄は、自らが育てた稲穂を素地に押し付け、着彩したもの。「食卓で食べているお米は、太陽に照らされ田畑で風に揺られていた穂のひとつだったことを感じてほしい」と恵美子さん。土壌と食卓がつながっていることを思い出させてくれます。

宮津の土が生む、手触りの心地よさ

ぬくもりを感じる柔らかな器の手触りは、オリジナルの釉薬によるもの。AIKA CRAFTさんだからこそ表現できる風合いです。釉薬は、宮津市内で採取してきた土を混ぜて作られます。釉薬に混ざった土は、焼成温度が高すぎればすべて溶け、逆に低すぎると溶けが甘くてザラザラとした手触りになってしまうそう。扱いがとても難しい素材です。

自然豊かな宮津の風情を食卓に

AIKA CRAFTさんの工房がある京都府北部の宮津市は、魚介類が豊かに育つ海と、ハイキングを楽しめる山があって田畑もあり、京都ならではの町家が並ぶ町。秋鹿さんご夫妻はこの素朴な町がとても好きだと話します。宮津ならではの空気や暮らし、風情が器に込められ、はるか遠くにいる人の食卓に届けられているのです。

※湿ったままだとカビが生えてしまうので、器を保管するときは、よく乾燥させてから湿気のこもらないところにしまうようにしてください。