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あの日のごはん帖#01「熱が出た日のトマトチーズリゾット」

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誰の心にもある「記憶にのこる味」。
水彩画家・nawが、水彩画とともにその思い出を綴ります。
ほっと心がほどけるような、懐かしいごはんの物語をお届けします。

病のときにだけ出会える、母のリゾット

風邪をこじらせると、ひどいときには水分しか喉を通らず、数日寝込んでしまうこともある。

おかゆが苦手でほとんど食が進まない私を見て、
母が「これなら、食べられる?」と、そっと作ってくれたのが――

アツアツのトマトチーズリゾットだった。
昔から和食より洋食が好きなわたしのことを思って作ってくれたのだ。

生米からではなく、炊いた白米から作るリゾットだから、母曰く「なんちゃってリゾット」なんだとか。
そしてチーズは消化に良くないといえばそうなんだけれど、それでもぱくぱくと食べ進められてしまう不思議な力のあるリゾットだった。

トマトソースの秘密

このトマトチーズリゾットには、秘密がある。

我が家にはたくさんの畑があり、父が四季折々さまざまな野菜を丹精込めて育てている。
毎年夏になるとたくさんのミニトマトを植えて、たくさん収穫しては
それを母がスパイスと共に煮込んで特製のソースを作る。

うちのトマトチーズリゾットにはその特製トマトソースがたっぷり使われていて、
ほどよい酸味とコクがとてもおいしいのだ。

なによりも、元気になってほしいという母の気持ちがたくさん詰まったリゾットは
弱ったわたしを元気づけてくれる魔法のひとさらだ。

naw
水彩画家

福井県在住の水彩画家。
おいしく、たのしく、ゆるやかに水彩画を描いています。
視覚に障がいを持つ私だからこそ見える世界と色彩を、そっとおすそ分けできたらと思っています。
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