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ごはんがすすむね!日本の郷土料理│富山県編


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日本には、特定の地域でしか食べられていない郷土料理が数多くあります。

「ごはんがすすむね!日本の郷土料理」シリーズは、日本全国の「お米を使った郷土料理」や、「“ごはんのおとも”になる郷土料理」を紹介する企画です。

今回フォーカスする地域は、「富山県」。

富山県南砺市(なんとし)の郷土料理研究家・中川裕子さんに、富山県ならではの、ごはんをもりもり食べたくなる郷土料理についてお話を伺いました。

日本各地には、私たちがまだまだ知らない料理がたくさんあります。みなさんも、どんな味か気になりませんか?

その地域ならではの“ごはんがすすむ”郷土料理との出合いは、あなたのごはんライフをより楽しくするはず。

明日、誰かに話したくなる郷土料理の旅へ、行ってらっしゃい!

中川 裕子(なかがわ ゆうこ)さん

郷土料理研究家
クラフトビールバー「gonma」代表

富山県南砺市生まれ、在住。小学生のころから料理教室に通い、郷土料理に慣れ親しんできた。富山県の郷土料理・かぶら寿司づくりの名人であり、郷土料理を広める活動をしている

富山県南砺市ってどんなところ?

南砺市は富山県の南西部にあります。

世界文化遺産に登録されている集落「相倉(あいのくら)」 と「菅沼(すがぬま)」があり、合掌造りの建築物が残っているのが特徴です。

中川さん

南砺市は山の緑が豊かで、過ごしやすい場所だと思います。

山には何でもあって、山菜をよく取りに行きますね。
食べ物がとってもおいしい地域ですよ。

外食文化があまりなく、家でごはんを食べる家庭が多いです。その影響か、街には全国チェーンの飲食店が1軒も無いんですよね。

──自然に囲まれて食べるごはん、おいしそうです!家でごはんを食べる文化があるということは、家庭ごとに特徴がありそうですね。

富山県南砺市で食べられているお米の郷土料理&ごはんのおとも

1.かぶら寿司

塩漬けにしたカブに麹と魚を挟んで発酵させた漬物。ネタとシャリで構成される一般的な寿司とは異なる。冬に作られるのが特徴で、地域にはかぶら寿司の専門店もある。

中川さん

富山県では、お正月にはかぶら寿司を食べます。

かぶら寿司自体は石川県生まれの郷土料理なんですよ。南砺市はお隣が金沢市なので、郷土料理も金沢市に近いかな。石川県ではブリを使うけど、南砺市ではサバを使うのが特徴です。

── かぶら寿司はお正月の定番料理なんですか?

中川さん

かぶら寿司は冬に作るものなので、お正月に食べる家庭は多いですね。

食べ始めるのはだいたい12月中旬からで、1月中旬くらいまでがかぶら寿司の時期です。

── 冬の郷土料理なんですね!かぶら寿司はどのように作られるのですか?

中川さん

まずはカブを採ったら塩漬けにして、2〜3日置きます。温度を見ながら塩分量を決めて漬けるんですよ。寒い日だとゆっくり発酵していくので、様子を見ながら量を調整する必要があります。そこに麹と塩サバを挟んで、10日くらい寝かせて出来上がりです。


── 10日も寝かせるんですね!

中川さん

そうなんです。全部でだいたい2週間くらいかかりますね。寒い日だとゆっくり発酵していくので、様子を見ながら作っていきます。

かぶら寿司を麹に漬けている様子
かぶら寿司を麹に漬けている様子

──かぶら寿司はどのような味ですか?

中川さん

ちょっと甘くて、まさに発酵食品の味。大人が好きな味ですね。お酒にもよく合うんですよ!

塩分の量や使う麹の種類によって味が変わるので、家庭ごとに違った仕上がりになります。

── 南砺市ではなぜこのような発酵食品の郷土料理が食べられているのでしょうか?

中川さん

南砺市には海が無いので、冬の時期にはなかなかタンパク質が摂れないんです。そこで、発酵させて保存する文化が発達したと考えられています。

2.まるやま

豆腐に山菜や銀杏などの具をまぜて成形し、揚げたもの。豆腐屋さんで売っている。全国で食べられている「がんもどき」と比べると、大きくて具だくさんなのが特徴。

まるやまの由来は京都市東山区の円山(まるやま)からきていると考えられている。

出典:一ノ谷豆腐店「丸山という名前について」 https://ichinotani.jp/free/maruyama

中川さん

まるやまは子どもの頃からよく食べていますね。好物です!

中には汁がたっぷり入っているので、ごはんに乗せて食べるとおいしいんですよ。具がたくさん入っているのでお腹いっぱいになります。

豆腐屋さんによって味が違うので、『このお店の揚げはやわらかくて良い』など、家庭ごとに好みのまるやまがあると思います。

旅行で南砺市に来た人の中には、あまりのおいしさにお土産に持って帰る人もいますよ。

まるやま、おいしくて最高です!

── 中川さんのまるやま愛がよく伝わってきますね。南砺市に行ったらぜひ買って帰りたいです!

3.よごし

野菜の葉を細かく刻み、ごま・味噌・砂糖で和えた料理。使う野菜の種類は地域によって異なり、大根やニンジンなど様々。季節の野菜を使うことが多い。

中川さん

野菜を育てるときって、途中で間引き作業がありますよね。そのときに間引いた小さい葉っぱを、味噌とごま、砂糖を少し入れて炒るんですよ。甘じょっぱい味がします。

──ごはんが進みそうな味ですね!

中川さん

ごはんに合う郷土料理といえばコレですね。ごはんを汚して食べるから『よごし』と呼ばれている説があります。食欲がない時でも、ごはんによごしを乗せればいっぱい食べられちゃいます。栄養価があるのもうれしいですね。

よごしの材料は決まった野菜ではなくて、私はニンジンの葉っぱで作るよごしが好きです。

中川さんの「郷土料理を広める活動」について

── 中川さんはなぜ郷土料理を広める活動をされているのですか?

中川さん

郷土料理って、おばあちゃんやお母さんに教えてもらわないと無くなっていくものだと思うんです。レシピ化されていないし、存在自体を知らない料理も多くて。核家族化が進んでいる中で、これからの世代に郷土料理を残していきたい思いがあります。

ものによっては見た目が全体的に茶色くて、食べるのにちょっと抵抗があるときがありますよね。そこで、郷土料理をおしゃれに見せてみなさんに興味を持ってもらう活動を始めました。

── 普段はどのような活動をされているのですか?

中川さん

郷土料理は家庭で食べることが多いので、お店で食べる機会はなかなか無いんですよ。

そこで、経営しているレストランでは海外や他県の方、市役所からのリクエストがあったときに郷土料理を提供しています。レストラン以外でも、県や市のPRでケータリングとして郷土料理を提供することがあります。

── 郷土料理を広めるために、様々な場所でご活動されているのですね。
中川さんが思う郷土料理の魅力は何ですか?

中川さん

やっぱり、この地域でしか食べられないことです。かぶら寿司の場合は食べられる時期も決まっていますし。

わたしが作るかぶら寿司は友人が作るお酢を使っているんです。郷土料理は出会った人によって味が変わっていきます。そして、その出会った人を通じて味が広がっていって、郷土料理の輪もどんどん大きくなっていくのが魅力ですね。

まとめ

海が無い南砺市だからこそ、魚を保存するために発酵食品としてかぶら寿司が生まれました。郷土料理の背景と南砺市の土地の特性がリンクしていて、とても興味深いですね。

まるやまは、ぜひ現地で食べてみたいです。色々なお豆腐屋さんのまるやまを食べ比べたらおもしろそう!

よごしは山の恵みが豊かな富山県ならではの料理で、野菜がたっぷり摂れるのがうれしいですね。

ある地域では馴染みがあっても全国的には知られていない郷土料理。そこにはごはんをおいしく食べるヒントが隠れていました。富山県の郷土料理の味が気になった方はぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

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取材・執筆

蒲田おにぎりちゃん
https://x.com/onigirikamata
https://www.instagram.com/onigirikamata/